【書評】カルト村で生まれました。/高田かや
先月読んだ時点ではKindle Unlimitedだったのにいつの間にか対象から外れてしまったようです。こまめにチェックしないといけませんね。
ずいぶんとショッキングなタイトルとは裏腹に、ほのぼのとした絵柄。このギャップがどうしても気になり読み始めました。いや正確には「見始めた」と表現すべきなのか。この本はコミックではありませんが中身はほぼコミックで、カテゴリ的には「コミックエッセイ」なんだそうです。
幼少期を過ごした村での出来事を淡々と、ちょっと怖いくらい冷静に描いてあります。内容はほのぼのとは言い難い、とても恐ろしいもの。
ここは本当に日本なのか?いつの時代の話?著者は何才なの?.......と疑問符だらけ。
カルト村とは何なのか?と調べるとその母体となる組織名がすぐに分かりました。
宗教法人ではなく農事組合法人だというのも、ひっかかりました。カルトと呼ばれるくらい、この組織の思想や理念が異質に感じたからです。彼らの言うところの「一般」である私には理解できません。様々な犠牲を払って得る幸せは本物なのか?幸せの尺度は人それぞれ違う。カルト村の人達が幸せと感じるなら外野がつべこべ言うべきではないのかもしれませんが、もし幸せと思っているならそれはやはりマインドコントロールだと思うのです。
著者の高田かやさんは現在、理解あるご主人と一緒に「一般」で暮らしています。私にはとても幸せそうに思えました。過去がどうであれ、今しあわせだと胸を張って言えるならそれでいい、過去の傷は無理に治す必要などない、そんな事を考えた一冊でした。