【書評】年収150万円一家/森川弘子
何年も前に読んだのに今更ながら感想を書いてみる。
タイトルにある年収はあくまでも世帯収入。著者が専業主婦ならともかく、共働きで150万円.......一体どんな生活を送っているのだろうと興味津々で読み始めた。
おおまかに言うと貧乏一家の節約生活をコミック形式で記録したもの。
水道料金削減の為に必死になって節水しているのに一向に金額が落ちず、一体どうすればいいのかと悩む著者に衝撃の事実が判明する。
料金明細を見た筆者の母親から「これは基本料金で収まっているから、どんなに努力しても下げようがない」旨の話をされ、筆者は基本料金とは何たるかを、この時初めて知ることとなる。
絵柄がほんわか系なので御本人もどこかほのぼの系というか憎めない雰囲気なんだろうか。少し抜け感のある人なのか。会ったこともない人の人柄を想像するのは難しい。
生活の知恵も披露されていて、なるほどなるほど読み進めていったのだが、ギンナンのくだりは私には考えられないし到底理解できない。食料にするためにイチョウ並木の下に落ちているギンナンを一家総出で拾うのである。立派な食材だしタダで手に入るなら拾わない手はないと。私が苦手な食べ物のひとつにギンナンがある。頑張ればなんとか食べれるレベルなので敢えて「苦手」という表現にした。決して「大嫌い」ではない。
本書の感想を検索してみると、この一家が「苦手」な人もいるようである。重箱の隅をつつく人、小姑みたいな人、色々な人がいる。好みや受けとめ方は皆それぞれ違っていて当然なのだが、私は読んでみて嫌な気持ちにはならなかった。世の中には様々な人種がいるのだと思えば、たいていの事は許せてしまうのではないか。確かに私がギンナンを「苦手」である事実は変わらないが、この一家が「苦手」だったり、「大嫌い」になることはないだろう。